PRICE から POLICE
「PRICE」から「POLICE」に見る急性障害マネジメント理念の変化 : Innervate The World! PRICE needs updating, should we call the POLICE?
Rest (休息)から Optimal Loading (適切な負荷をかける)へ
PRICEは「Protection, Rest, Ice, Compression, Elevation」の略(RICEはそこからProtectionを抜いたもの)ですが、POLICEは「Protection, Optimal Loading, Ice, Compression, Elevation」の略です。大きく変わったのはR = Rest (休息)からOL = Optimal Loading (適切な負荷をかける)という点で、この変更は「受傷直後に少し非荷重・無負荷の時期を短期間設けるのはともかく、不必要に長期のimmobilization/unloadingは有害(harmful)であり、組織の形状や機能に悪影響を及ぼす」ことから、「早期mobilizationとloadingが回復のカギである」という理念に基づいています。
「休みっぱなし」でなく「動く」、「動いてよい」ということに楽しみを見出すのは患者だけでなく医療従事者もそうなのではと私は思うんですよね。従来の「Rest」に比べて、新たに加わった「Optimal Loading」という言葉は工夫の余地が大いにあって、ちょいとウキウキしませんか?どれくらいが適量かな?どういったloadingを提供しようかな?と考える、新たな知的好奇心の扉が開くというか。
患者とのコミュニケーションと観察
疼痛や腫脹、組織の破綻の程度から適切な負荷を導いて負荷をかけていくとの事ですが、どの程度かけて良いのかというのが調べてもPTさんに聞いてもわからないのですが阿部さんはどのような判断基準にされていますか?
1) 患者の症状の変化…これは超短期(荷重時)、短期(2-3日以内の変化など)、長期も全て含みます。無理に負荷を増やし、翌日に腫れが悪化している場合は"適切でなかった" "やりすぎた"と考え、負荷を減らすか非荷重にするなどします
2) 患者の荷重時の代償動作の有無…荷重させてみて代償が激しいとこれがケガから生理的に回復してもfaulty movement patternのみが残る可能性があります。これを取るのは厄介です。この場合も調整が必要です
3) 患者の性格…本当はもっと荷重可能なはずなのに「痛くて無理」、もしくは「むむ、この子に今部分荷重をok出したらフル荷重しやがりそうだな」と長年の勘が働けば先回りもします。要は、患者とのコミュニケーションと観察ですかね。